JITとTOCの関係(2)


JITとTOCの関係JITについて書いたことを補足というか訂正というか。

TOCのドラムバッファーロープの比喩でいうと、JITでは最終工程が常にドラムを叩いてペースを
規定し、その速さについてこれない奴が制約条件と認定され、改善・強化の対象になるわけだ。
「ついてこれない奴が改善対象」という考え方は合理的だ。
...
JITの考え方なら揺れ動く制約条件を確実に捕まえることができる。

TOCの立場からすれば、「揺れ動く制約条件を確実に捕まえる」という仕事のやり方はよろしくない。
TOCでは、制約条件の位置が変わることは工場にとって大事件だから、そんなことはめったに起こしてはならない、と考える。
なぜか。
制約条件が変わったら、それに合わせてその他のリソースを一斉に調整しなくてはならない。
具体的には、新しい制約条件の工程の前に在庫を積むとか、そのためのスペースを確保するとか、検査工程の位置を新しい制約条件の前に移動するとか。
そういうことを考えると、ボトルネックを下手に改善して制約条件の位置を動かしてしまうよりは、いっそのこと制約条件をわざと固定した方が得だ、という考え方もありになってくる。

制約理論(TOC)についてのノート

制約理論(TOC)についてのノート

この本にはこう書いてある:

P-157どこに制約資源を置くかで仕事のやりやすさが影響されるので、この決定は極めて戦略的に
行わなければならないといわれています。
アメリカでは、この観点から、「システムの制約を高める(elevate)」ことをあえて行わず、
制約の位置を、長年、固定している企業もあるとのことです。
...
「制約を高める」と何が起こるかを事前に十分に把握し、高めた後のアクション・プランまで
作成した上で、「システムの制約を高める(elevate)」を実行しなければなりません。