小林秀雄と岡潔の老人力対決「人間の建設」

一部で評価の高い、おじいちゃん同士の雑談が新潮文庫になったので読んでみた。

人間の建設 (新潮文庫)

人間の建設 (新潮文庫)

やはり岡潔の見ている境地に惹かれる。非常に大事なことを言っていると思う。

人は極端になにかをやれば、必ず好きになるという性質をもっています。
好きにならぬのがむしろ不思議です。

数学は必ず発見の前に一度行き詰まるのです。
行き詰まるから発見するのです。
...
西洋人は自我が努力しなければ知力は働かないと思っているが、数学上の発見は
そうではない。行き詰まって、意識的努力なんかできなくなってから開けるのです。
それが不思議だとポアンカレは言っています。

理性というものは、知っているものから順々に知らぬものに及ぶという働き方しか
できません。
...
ところが知らないものを知るには、飛躍的にしかわからない。ですから、知るためには
捨てよというのはまことに正しい言い方です。理性は捨てることを肯んじない。理性は
まったく純粋な意味で知らないものを知ることはできない。

人は記述された全部をきくのではなく、そこにあらわれている心の動きを見るのだから、
わからん字が混ざっていてもわかると思います。


小林秀雄素読について重要なことを言っている。これは改めてupするつもり。