人間の可能性は無限だ

6,7年前だろうか。
日テレの日曜夜のドキュメンタリー番組に、インド洋のどこかの島でイルカ漁をする漁師たちが出てきた。
彼らは網もモリも使ってはいなかった。
数隻のボートで沖に漕ぎ出し、イルカの群れを見つけるとさらに沖側に回りこんでボートで囲む。
両手にメロン大の石を持ち、水の中で打ち合わせる。するとイルカは岸方向に逃げ始める。
石を打ち合わせる音が壁の役割を果たすらしく、イルカは音に囲まれた範囲から外に出ることができないのだ。
イルカを港まで追い込んだ漁師たちは、"ィヤッホゥ!"という感じで半回転ひねりなどしながら、海に飛び込む。
(え?...素手で飛び込んでどうするの...)と思ったら、漁師の一人が両腕でイルカを抱えて水面に現れ、ボートに放り込んだのだ。


人間の可能性の限界は、想像よりもはるかに遠いところにある。
はるか昔、彼らの祖先に一人のチャレンジャーが現れ、周りの人間に「できるわけないよ」と言われながら、イルカを獲ることに挑み始めたのだろう。
そして彼が「音で追い込む」という発見をした後は、素手でイルカを獲ることは当たり前になったのだ。


今私のいる会社には、世間に誇れるような技術も、研究開発の資金もない。スタッフのレベルも凡庸かもしれない。
それでも、世界をうならせるような製品をリリースすることは、きっと可能なのだ。
そして一度リリースしてしまえば、そのレベルの製品を生み出すことが当たり前になるのだ。