T字形とサロゲートキー

T字形ER図には、現実世界のコード体系に存在しないコードを記述することは許されない。
例えば、部門Entityのidentifierは、その会社の帳票上に現れている部門コードでなくてはならない。
「T字形ERデータベース設計技法」P20にこうある:

T字形はコード体系に準拠している。したがって、コード体系に表現されていない
コードを勝手に使ってはいけない。「何も加えず、何も減らさず」。

このことから、データベース設計のベストプラクティスと言われている(?)サロゲートキー*1の付与を、T字形は認めていないのかと思っていた。
が、これは勘違いだったようだ。

「identifier=プライマリ・キー」だと思っていたので上記のような勘違いをしたわけだが、「identifierとキーは違う」というのは、T字形の基本中の基本だった。
「T字形ERデータベース設計技法」P16〜P18にこうある:

identifierとキー(マスター・キー)は別物である。

ビジネスにおいて使われているコード体系には<中略>コードの値が「一意性」を保全していないことが起こり得る。したがって、identifierの値が、「一意性」を保全していないことが起こり得る。
データにアクセスするための「一意性」は、キーを生成する際に考慮すればよいのであって、ビジネスの現状を解析する段階では不要である。

つまり、データベースの実装形においてサロゲートキーをSEが勝手に付与することは認めるが、ER図上には記述しない...ということなのではないか。
しかし、実装系では導入するに決まっているサロゲートキーを、一生懸命ER図に書かないようにすることに何かメリットがあるだろうか。まだ何か勘違いしているような気がする。

*1:ビジネス上の意味を持たない一意性のためだけのキー