トンボ採り

今年の9月の話。
天気がいいので外で本でも読もうと思って円山公園に来てみると、二人連れの子供(小学校低学年のお兄ちゃんと、就学前の妹)がトンボ採りをしていた。
トンボは大きな池の真ん中あたりを飛んでいるので、二人の虫取り網は届かない。
妹はすでに諦めており、お兄ちゃん一人が網を振り回してがんばっている。
日が傾き始めたころ、妹は帰ろうようといって泣き出したが、お兄ちゃんは「1匹採るまで帰らない」といって譲らない。
妹の泣き声が絶叫調になったので、私は本を閉じてベンチに寝っころがり、彼らが帰るのを待つことにした。
やがて妹の叫びが通じ、お兄ちゃんはトンボを採ることなく、まだ泣いている妹を連れて帰っていった。
静かになったので起きて本を開くと、私のひざにビシッという音を立ててトンボがとまった。


このとき何か重要なことがわかったような気がしたのだが、何なのかはわからない。
間違った努力は何もしないより悪いということだろうか。
努力自体には意味がないということだろうか。
欲が無いほうが儲かるということだろうか。
何か重要な教訓があると思うのだが...