フェルミ推定で測定できるものは論理思考力ではなくててんぱっている度合


フェルミ推定ていうのがありますでしょう。採用面接で「都内に携帯基地局はいくつあるか?」みたいなことを聞くあれ。
これは応募者の論理思考力を見るもので、例えば「貴方が地元の選挙に立候補したら何票入るか?」という問いであれば「選挙権人口がxx人で無党派層がxx%居るから...」とトップダウンで答えを囲い込んでいくのが優秀な人で、「俺に投票しそうのは両親と、友達10人と、高校の先生が...」などとボトムアップするのがいまひとつな人、「だいたい1000票ぐらいじゃないすか?」というのが全くダメな人、ということになっているらしい。


先週までやっていた新卒採用の二次面接で、サーチエンジンを使いつつフェルミ推定的な問いを解かせる、という課題を出してみた。
実際にやってみるとおかしな推論をする人が続出して「面接では明らかにならない資質が見える!すごい!」と思ったのだが、明らかに頭のいい人がまるで非論理的な回答をしたり、その逆のことが重なるにつれて、試験自体に問題があることが分かってきた。
ウィトゲンシュタインのものさし」というやつだ。
小学生のとき「バナナの皮を4枚に剥くのが人間で、3枚に剥く奴はゴリラ」なんて言わなかっただろうか。俺の地元だけか。
俺もバナナ3枚に剥いてゴリラゴリラと囃されたことがあるが、俺は人間なんだからテストの方が間違っているのだ。


面接でフェルミ推定をやると、これと似たようなことが起こる。
はっきりした傾向として、緊張している人は推論がおかしく、リラックスしている人は普通に論理的な回答をする。いわゆる頭のよさは関係ない。
さっきまでカイ2乗検定について滔々と語っていた人が、この手の問題をぶつけられると、急に2桁の割り算ができなくなったりする。
結局、測定しているのは論理思考力ではなくて、応募者がどれだけ緊張しているかだったのだ。