JITとTOCの関係
ジャストインタイム生産(以下JIT)には制約条件という考え方がないから、制約理論(以下TOC)の敵のはずだけど、何だか似てる部分もあるような。
JITとTOCの関係はどうなっているのだろう。この本には
サプライチェーン理論と戦略―部分最適から「全体最適」の追求へ
- 作者: ダイヤモンドハーバードビジネス編集部
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 1998/12
- メディア: 単行本
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P-72TOCでは制約条件を認定したうえでのシステムになっているのに対して、JITでは制約条件が出てこない。
これはかんばん方式では、問題がなければ工程間のかんばん枚数を順次減らし、そこで問題を起こした
工程が制約条件であり、これを見出し強化するサイクルを繰り返すことに目的があるからである。
すなわち、制約条件を活用するというよりも、常に連続的な体質強化(この場合は在庫削減)を行うという
厳しいシステムであるといえる。
とある。
TOCのドラムバッファーロープの比喩でいうと、JITでは最終工程が常にドラムを叩いてペースを規定し、その速さについてこれない奴が制約条件と認定され、改善・強化の対象になるわけだ。最初に制約条件を特定し、そいつにドラムを持たせて全員が制約条件ペースに合わせるTOCに比べるときついやり方だが、「ついてこれない奴が改善対象」という考え方は合理的だ。制約条件てプロダクトミックスを変えたり作業員の腕が上がったりしたら変わるでしょう。JITの考え方なら揺れ動く制約条件を確実に捕まえることができる。
TOC側はその辺について何と言っているか。
この本でTOCからみた4点のJIT批判が紹介されている。
- 作者: 小林英三
- 出版社/メーカー: ラッセル社
- 発売日: 2000/07
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1点目から3点目は要するに「JITを実践するのは難しいんだ」という話。これはその通りなのだろう。
4点目は、JITの改善対象が「クリティカルな資源」に絞られていないことへの批判。
P-165JITでは、問題が発生しシステムが停止するのを待つことを基本的な改善の姿勢としている。そして、
問題が発生したとき、その問題がボトルネックや制約資源に関係するクリティカルなものなのか、制約
でない資源の持つ「統計的変動」に由来するものかの判断をせずに、スループットを増加させるという
保証のない問題の解決に貴重な労力やお金を注入することになる。
これはどうか。例えば3回続けて同じ工程で止まったら、それは「統計的変動」ではなくてほんとに問題があるということだろう。「統計的変動」かどうかを見分けるのはそんなに難しくなさそう。
JITの問題は結局、トヨタ系にしかできないということに集約されるのだろう。トヨタにとっては問題じゃなくてメリットだけど。