10年前のSCM

2000ごろに出版されたサプライチェーンマネジメント関係の本がたくさんたまっているので、何日かかけて読む。

サプライ・チェインの設計と管理―コンセプト・戦略・事例

サプライ・チェインの設計と管理―コンセプト・戦略・事例

  • 作者: D.スミチ・レビ,E.スミチ・レビ,P.カミンスキ,久保幹雄,伊佐田文彦,田熊博志,佐藤泰現,宮本裕一郎
  • 出版社/メーカー: 朝倉書店
  • 発売日: 2002/01/01
  • メディア: 単行本
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市場をリードする「業務優位性」戦略―実践サプライチェーン

市場をリードする「業務優位性」戦略―実践サプライチェーン

サプライチェーン戦略 (Best solution)

サプライチェーン戦略 (Best solution)

当時のSCMのテーマは「統合による効率化」。今のSCMはもうちょっと論点が顧客寄りになってると思うんだけど、この辺の本に書いてあったのは「従来は分けて管理していたアレとソレをまとめると利益が出る」という話ばっかり。

  • 需要の集約。物流拠点を統合すると、拠点単位の需要変動が抑えられて需要予測が当たりやすくなる。
  • エシュロン在庫。サプライチェーン下流全体の在庫を勘定に入れて意思決定する。
  • VMI(ベンダー管理在庫)。チェーンの上下流両側で持っていた在庫を統合する。在庫削減と鞭効果の低減。
  • 情報集中化。チェーンの各段階は、一段下流からの発注情報ではなく、顧客の実需データを見て意思決定するようにする。鞭効果の低減。
  • 製品設計とサプライチェーンの統合。電源ユニットのみ後付けできるHPのプリンタの話。
  • 遅延差別化。プッシュ型・プル型の利点の統合。
  • 物流統合による在庫転送(DI)。余っている店舗から在庫を引き抜いて、足りない店舗に送る。


議論としては10年前に出揃っているので、今あんまりこういう効率化の話は聞かないけど、現場に根付いているのかどうか。
実践するにはドロドロの利害関係の調整が必要だろう。
高級スーパー成城石井社長の大久保恒夫氏が 利益を3倍にするたった5つの方法―儲かる会社が実践している! に「えこひいき納品」の話を書いている。これは売れ筋商品の在庫が乏しくなったとき、売れてる店に優先的に納品するために、売れない店から発注が来ても出さない、というもの。さらには売れ筋商品の倉庫在庫が切れたら、売れない店から売れる店に在庫を移すように指示するとのこと。これをやると売れない店のスタッフがいやがるので社長自ら説得しなくてはならないのだそうだ。
1つの会社の中で社長の指示を通すのも面倒なのだから、企業をまたいだサプライチェーンを効率化するエネルギーはどれほどのものか。