やる気には価値がない

外務省のラスプーチンこと佐藤優獄中記を読む。
こんな話が出てくる。

「七年間、若手外交官の教育にあたった経験からすると、「国のために身を投げ出したい」とか、
北方領土問題の解決に生命をかけたい」などというタイプは(必ず二年に一人か二人いる)、バランス
感覚が欠けているとともに、集中して机に向かう能力に欠けているので、語学が身に付きません。


ロシア語だけでなく、英語も勉強したい、経済を勉強したい、法律を勉強したいというタイプは
<中略> そこそこのレベルには達するのですが、一級の外交官にはなりません。なぜか大学院卒
や留学経験者にこのタイプが多いのです。


もっとも伸び、国益観がしっかりとする若手外交官は、不思議なことですが、あまり問題意識も
鋭くなく、安定した生活、組織の中でとりあえず言われた仕事だけをやればよい公務員は民間より
もストレスが少ない、といった消極的な同期で入省してきた若手から生まれてきます。このタイプ
は集中して机に向かう訓練ができているので、システマティックに知識を与え、自分の頭で考える
訓練をさせておけば、外交の現場に接する中で、大きく成長する可能性があります。

要するに「組織では意欲よりフィットするかどうかの方が大事だ」ということで、やっぱりそうだろうな、という感じだ。
組織にとって「素直」に比べれば「やる気」なんて大した価値はない。現代人は自我が肥大しているので素直の希少価値は高い。