ITベンダーに要件定義をリードさせちゃダメ

「経営者がITを理解できない本当の理由」についてもう一個。
以下の部分は、ユーザ企業にとって危険な考えではないか。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/a/biz/shinzui/shinzui0926/shinzui_03_4.shtml
要件定義がうまくいかなかったのはユーザーの責任だと言って、問題を終わらせないように、
是非ともお願いしたいと申し上げているわけです。
...
我々の要件定義のスキルやテストのスキルが十分でなかったら、あるいは取り組みが十分で
なかったら、プロのITベンダーがしっかりリードして欲しいのです。

あるメーカーの生産管理システム開発プロジェクトで、営業サイドと製造サイドが対立して頓挫しかけた時、私が要件をまとめるために取った方法は「楽な方に肩入れして話を進める」だった。
両者の要望は、要するに

  • 営業サイド --> 売れた分だけ作るシステム
  • 製造サイド --> 作った分しか売れないシステム

で、それぞれ一長一短あるのだが、明らかに製造側の要望の方が実装が簡単だった。
私は「製造様のご要望なら運用可能なシステムができますが、営業様のご要望だと現場が大混乱するっすよ」みたいなことを言って無理やり要件をまとめたが、それがユーザにとって一番儲かる選択だったかどうかは分からない。


要件定義は明らかに我々の仕事だが、企画自体がグラグラしている時に我々がやるのは、自分の身を守れるように要件を決めることだ。
そりゃそうだ。自分が損*1したら全てが無駄だもの。それを指して「プロ意識がない」と言われても「そうですか」と居直るだけだ。言わないけど。
佐藤氏が別のページで書かれているように、ユーザ企業は「そのシステムでどうやって儲けるか」を考え抜いておいて、不動の軸をもって要件定義をリードしないと損だ。

*1:失注するとか。赤字受注するとか