凡人の可能性だって無限だ
100万分の1グラムの歯車で有名な樹研工業という会社がある。
同社は採用試験というものを行わず、志望者を先着順で採用してしまうのだという。
そんなんでまともな人が採れるのか?と思っていたが、同社社長の松浦元男氏のインタビュー
http://www.innovative.jp/2004/0901.html
を読んで、何が起きているのか理解できた。
樹研には技術者を爆発的に成長させる仕組みがある。だから、そこに投入する素材は、はっきり言って誰でも
いい、ということなのだ。
技術者にやる気を出させる施策の具体例を問われて、松浦氏は以下のように答えている。
それは、当社で言えば、技術者に最先端で最高級のマシンを与えてやることです。 例えば、昨年には、ナノという単位で金属(金型)を加工するための工場を建設しましたが、周辺の道路から 伝わる振動の影響をゼロにする免震構造や、工場内の温度を±0.001℃に抑えるクリーンルームを備え、 そこに一ナノの単位で制御できる五軸制御のマシニングセンターを入れることで、総額3億4000〜 5000万円の投資をしました。 これも現状では、用途が未定で、言わば基礎研究用の設備投資なんですが、とにかく最高のグレードのものを 入れ、オプションも全てつけました。社員は購入にあたって、「ちょっとこのオプションもったいないな」と か言ってたんですが、冗談じゃない。最高の機械を使おうと思ってたら、そんなもの遠慮してたらダメだと。 ちゃんと使おうと思ったら、ちゃんとオプションを入れろって。刃物でも、超硬にすれば安いもんですよ。で も最高に削ろうと思ったら、やっぱりダイヤモンド。最低30万円。ちょっと良い物になると、60万〜90 万円になる。社員は「どうしましょうか」って。そんなもんダイヤモンドに決まってる、という一言でダイヤ モンドにする。で、工場は工場でインチキしないで完璧なものをつくる。 そうすると、豊田工機の技術部長さんなんかが来られて、「うらやましい」っていうわけですよ。 その瞬間、うちの担当者が、上場企業の技術者の羨望の的になる。そうすると、担当者はバーンと 爆発しちゃうわけね。やる気をおこすわけですよ。 最高の道具をもって、最高の機械の前に立ったら、やっぱり気持ちが違いますよ。
人間は環境の生き物だ。環境の前には、遺伝の影響など微々たるものなのだ。